ソフトバンク上場時の公募価格割れの影響かどうかははっきり分かりませんが、それ以降、IPOバブルが崩壊したような気がしています。
今回は、IPOバブル崩壊の理由とIPO投資の今後について考えていきたいと思います。
ソフトバンク上場が影響?IPOバブルが崩壊し、今後の戦略を検討
そもそもIPOバブルとはどんな状態かを説明したいと思います。
IPOバブルとは?
IPOバブルという言葉は辞書にも載っていないと思いますが、私が使用している意味としては、マザーズやジャスダックなどのIPOを買って、初値で売れば、大抵の銘柄で利益を上げられるという状態のことです。
その理由はIPOは新規上場する会社の株が売り出されたものですが、マザーズやジャスダックに上場するだけで、割高で上場ゴールの胡散臭い銘柄でもほぼ公募割れすることはなく、初値が高騰するため、その会社の実際の価値と初値が乖離している状態であり、実体の無いバブルであると感じていたからです。
IPOバブルは一種のマネーゲーム状態で、初値が普通では考えられないぐらい上昇することもありました。
(ただし、IPOバブル崩壊前でも東証1部への出戻り銘柄や東証2部への上場銘柄などは公募割れすることはありましたが)
IPOバブルの影響でIPOはノーリスクで儲かるので、どんな銘柄でも申込みが殺到し、当選も困難な状態でした。
IPOバブルが崩壊したと判断した理由
12/23現在、新興市場を含めて、株式投資の地合いが非常に悪いというのが大きいと思いますが、少し前までは地合いが悪くてもIPOの初値にはあまり影響が無かったように思います。
今回、なぜIPOバブルが崩壊したと判断したかというと、ソフトバンクを含めそれ以降のIPOが全く冴えないからです。
以下の記事でも書いた通りソフトバンクのIPOは、多くの投資家にとって後味の悪い結果になり、IPOに対してのイメージを下げたのは事実だと思います。
IPO初当選がソフトバンクだったという人も多いはずです。

そして、実際にソフトバンク以降のIPOの結果は以下の通りです。
12/19上場のソフトバンク(9434)
結果は上記の通り、公募価格割れでその後も暴落したことにより、多くの投資家の期待を裏切った形になりました。
12/19上場のKudan(4425)
ソフトバンクと同日の上場ですが、さすがにAI関連だけあって暴騰しました。
AI関連は個人的には期待先行の気がしていますが、この銘柄に関しては他のAI関連のPERなどを考えると正当な評価をされたのだと思います。
12/20上場のAmazia(4424)
公募価格1,320円に対して、初値は1,756円で私が予想したよりも冴えない感じです。
Amaziaは公募枚数も少ないため、今までなら初値はロックアップ解除の1.5倍の1980円は超えていたと思います。
そして、12/23時点の株価は初値よりも下落しています。
12/20上場のAmidaホールディングス(7671)
公募価格1,460円に対して、初値は1,552円でいまいちの結果です。
Amidaホールディングスの将来性や業績は普通でも、IPOとしての需給は悪くなかったので、今までならもっと上がっていたと思います。
更に、12/23時点で株価は1,200円と大幅下落しています。
12/21上場のEduLab(4427)
公募価格3,200円に対して、初値は3,270円と全然でした。
この銘柄も当然ながら、いつもならもっと初値が高騰していると思います。
しかし、12/23時点の終値は3,730円まで上昇していることから、結果的には狙い目の銘柄でした。
12/21上場の自律制御システム研究所(6232)
公募価格3,400円に対して、初値は2,830円と大幅な公募価格割れの上、その後は速攻でSTOP安の2,330円まで下落しました。
ちなみに、自律制御システム研究所の結果が一番意外でした。
その理由は、ドローン関連で将来性がありそうな銘柄は赤字で需給が悪くても、初値が高騰して、VCの餌食になるのが今までのパターンだったんですが、見事に公募割れした後にSTOP安まで売られたからです。
ただ、12/23時点の終値では2,623円まで戻していますので、この先どういった動きをするかは少し注目しています。
12/21上場のポート(7047)
公募価格1,480円に対して、何と初値はどんどん下落し、下方向で寄り付かず・・・。
私の記憶にはこんな酷く下落したIPOはありません。
ポートについては、上場の内容も酷いのは確かです。
将来性と業績もいまいちの上、割高で需給も悪いため、暴落するのは当たり前の結果だったかもしれません。
しかし、今まではこんな銘柄でもここまで酷いことになりませんでした。
それは、やはりIPOを買えば儲かるというバブルの影響だったのだと思います。
12/21上場のテノ.ホールディングス(7037)
公募価格1,920円に対して、初値は2,400円とそこそこ上昇して、まともに見えますが、テノ.ホールディングスは9月に上場する予定を延期し、今回上場しましたが、9月の時の公募価格は何と4,600円でした!
前回の公募価格から考えると今回の公募価格は激安のはずですが、初値の結果はいまいちでした。
そもそも、前回の公募価格が割高過ぎておかしいのですが・・・。
ちなみに、12/23時点の終値は2,150円まで下落しています。
上記の結果をみて、どのように感じたでしょうか?
上記の結果を見る限り、何でもかんでもIPOなら初値が上がるという初値バブルは一旦は崩壊したとみるべきだと思います。
最近の市況の悪化で、IPOを専門で取引している投資家達の資産状況が悪くなり、更にはソフトバンクでIPOに対する心象も悪化したため、今までよりも慎重にIPOの価値を見極めてから、買い上げるようになったため、何でもかんでも初値が高騰するバブルは崩壊したのではないでしょうか。
蛇足ですが、IPOバブルが崩壊した今、レオス・キャピタルワークスの上場中止の判断は素晴らしいと思います。

今後のIPO投資の戦略
ここまで、IPOバブルが崩壊したと悲観的に書いてきましたが、実は私としては嬉しい流れです。
なぜなら、IPOの当選だけを狙っているIPO投資家の方には、嫌な流れだと思いますが、私は基本的にはIPOセカンダリー投資家だからです。
IPOの当選確率は悪いので、IPOは当選すればラッキーぐらいに考えています。
今までIPOの初値バブルのせいで、割高な銘柄が多く、IPOのセカンダリーとしては美味しくない銘柄が多かったです。
(ただし、IPOバブルのおかげで、セカンダリーでも儲けられた銘柄もたくさんあったのは事実ですが。)
私の今後のIPO投資の戦略としては、今までよりも、より会社の見極めを行い本当に買いだと思った銘柄だけに絞って投資します。
会社の成長性と人気になる材料があるかと現時点での株価が総合的に見て割安かどうかという判断材料で銘柄を絞っていきたいと思います。
この先、更に相場が不安定になってくると、割高な銘柄は真っ先に売られる傾向にあるためです。
まとめ
ソフトバンクの公募割れによる心象悪化と新興市場の下落の影響でIPOバブルが崩壊しています。
しかし、前向きに考えると、IPOセカンダリーで掘り出し物に出会えるチャンスも広がると思っています。
この先は、より銘柄の選定力が求められるようになる気がします。
ただ、長期保有している銘柄なども酷いことになっているので、相場の不安定さは解消してほしいですが。