株主優待のタダ取り(クロス取引)は本当に得するかを分析

世間一般で株主優待のタダ取りというワードや、クロス取引でノーリスクで株主優待をお得にゲットしようというワードをたくさん見かけます。

はたして、この株主優待のタダ取りと言われる方法が本当に得するのかを実例を交えて分析したいと思います。

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株主優待のタダ取り(クロス取引)は本当に得するかを分析

株主優待のタダ取りとは何かを説明する前に、まずは株主優待の権利を得る時のリスクについて説明したいと思います。

株主優待の権利を得る時のリスク

それでは、株主優待の権利をゲットする際のリスクを考えたいと思います。

まず、株主優待をゲットするためには、権利確定日に現物で株を保有している必要があります。

(2019年2月7日追記)

誤解の無いように付け加えると、権利確定日に現物で株を保有している状態(株主名簿に記載されている状態)になるためには、権利確定日の3営業日前に株を保有している必要があります。

この権利確定日の3営業日前を権利付最終日といいます。

それらを踏まえて、以下のようなリスクがあります。

  • 権利落ち日に株価急落
  • 空売りしていた場合に高額な逆日歩発生

権利落ち日に株価急落

株主優待が欲しくて、権利付最終日に必要な枚数の株を買っても、翌日の権利落ち日に株価が急落し、配当や株主優待の価値以上の損失を被ることがあります。

権利落ち日は、かなりの確率で配当分程度の株価が下がります。

空売りしていた場合に高額な逆日歩発生

現物株と空売りを同時に行う両建てにより、株価急落のリスクを回避するも、空売りの株不足により高額な逆日歩が発生し、株主優待の価値以上の費用が発生する可能性があります。

ちなみに配当の権利付最終日に空売りしていた場合は、配当と同額の配当落調整金を支払う必要があるため、両建てで株主優待と配当金の両方をゲットすることはできません。

 

上記のリスクを回避する方法が世の中では株主優待のタダ取りと言われます。

それでは、株主優待のタダ取り(クロス取引)の方法について説明したいと思います。

株主優待のタダ取り(クロス取引)の方法

株主優待のタダ取り(クロス取引)の方法は欲しい株主優待の銘柄を逆日歩が発生しない一般信用で空売りし、同値で現物で買う両建てを行うだけです。

(制度信用売りによる両建てで、株主優待をゲットする方法をタダ取りとして表現しているケースも見かけますが、逆日歩のリスクを排除できていないため、私のブログでは一般信用を利用した両建てのみをタダ取りと表現しています。)

タダ取りという言葉は、株価が急落したり逆日歩が発生してもその費用を払うことなく株主優待の権利を得られることから、そう呼ばれるようになったのだと思います。

具体的なタダ取り(クロス取引)の方法

  1. 株主優待の権利を得たい銘柄の権利付最終日を調べて、その日の当日中までに2を実行
  2. 9時の相場が始まる前に、株主優待の権利を得たい銘柄を一般信用の新規売り注文を成行注文で実行
  3. 1と同じ銘柄に同数の枚数を現物買い注文を成行取引で実行
  4. 両建てが成立したら、そのまま権利付最終日の15時まで放置
  5. 権利落ち日に現物株の現渡しにより、一般信用売りを返済

(注意点)

  • 一般信用売りをできるかどうかは、証券会社によって異なります。
  • 一般信用売りが出来る銘柄は証券会社によって異なり、枚数にも限りがあります。
  • 一般信用売りには日数に応じて利息がかかります。

上記の方法で株価変動によるリスクと逆日歩のリスクなく株主優待をゲットできます。

一見すると、ノーリスクで株主優待をゲット出来てお得に見えます。

そこで、本当にこの手法で得することができるのかについて、実例を基に株主優待を取得する際にかかる費用をいくつかのケースでシミュレーションしました。

株主優待の取得にかかる費用のシミュレーション

当たり前ですが、タダ取りは株価変動によるリスクや逆日歩のリスクはありませんが、証券会社へ手数料は払う必要があります。

その事を踏まえて、私が以下の通り、タダ取りで株主優待をゲットした積水ハウスを例に本当に得をするのか、かかる費用をシミュレーションしたいと思います。

低リスクで2019年1月にゲットした株主優待
低リスク運用の口座で、積極的に株主優待を取りに行くと以下の通り宣言しました。 早速2019年1月にゲットした株主優待を記録に残したいと思います。 低リスクで2019年1月にゲットした株主優待 ゲットした株主優待を紹介する前...

1.カブドットコム証券でタダ取りにかかる費用(通常パターン)

積水ハウス(1928)を権利付最終日の1/28に株価1680円で1000株を一般信用りで両建てし、権利落ち日に現渡で決済

1新規現物買い手数料1,602円
2新規現物買い手数料消費税128円
3新規一般信用売り手数料940円
4新規一般信用売り手数料消費税75円
5一般信用売り貸株料137円

上記の費用を合計すると2,882円の手数料がかかることになります。

2. カブドットコム証券で制度信用により両建てしていた場合

積水ハウス(1928)を権利付最終日の1/28に株価1680円で1000株を制度信用売りで両建てし、権利落ち日に決済

1新規現物買い手数料1,602円
2新規現物買い手数料消費税128円
3新規一般信用売り手数料940円
4新規一般信用売り手数料消費税75円
5一般信用売り貸株料137円
6逆日歩(一株当たり3.15円)3,150円

上記の費用を合計すると実際に積水ハウスでは逆日歩が発生したため、6,032円の費用がかかることになります。

3.カブドットコム証券でタダ取りをしなかった場合

積水ハウス(1928)を権利付最終日の1/28に株価1680円で1000株を現物買いし、権利落ち日の寄り値の株価1620円で決済した場合

1新規現物買い手数料1,602円
2新規現物買い手数料消費税128円
3配当(予想79円×1000)+79,000円
4株価変動による損失-60,000円
5現物売り手数料1,548円
6現物売り手数料消費税124円

所得税などの税金は計算されていませんが、上記の費用を合計すると+15,598の利益が得られて株主優待もゲットできていたことになります。

4.私が実践した両建て解消のタイミングをずらす取引

積水ハウス(1928)を権利付最終日の1/28に株価1680円で1000株を一般信用売りで両建てし、権利落ち日に一般信用売りの700株を1610.5円、300株を1610円で決済し、現物株の100株を1615.2円、900株を1615.5円で売却しました。

1新規現物買い手数料1,602円
2新規現物買い手数料消費税128円
3新規一般信用売り手数料940円
4新規一般信用売り手数料消費税75円
5一般信用売り貸株料137円
6一般信用売り決済手数料940円
7一般信用売り決済手数料消費税75円
8一般信用売り決済損益+69,650円
9現物売り手数料1,543円
10現物売り手数料123円
11現物買い決済損益-64,530円

上記の費用を合計すると443円の費用がかかったことになります。

株主優待のタダ取り(クロス取引)が得かどうかの分析結果

積水ハウスの株主優待(魚沼産コシヒカリ5キロ:市場価格3000円~5000円)を取得するために必要な費用をシミュレーションした結果、以下のようになりました。

NO取引方法かかった費用費用面の効果リスク実践難易度
タダ取り2,882円◎(小)◎(低)
両建て(制度信用)6,032円×(小)
現物のみ-15,598円◎(大)×(大)×(高)
タダ取り(決済時取引)443円

費用面の効果は貰える株主優待の価値に対してかかる費用を表しています。

リスクは大きな損失を被る可能性がどれくらいあるかを表しています。

実践難易度はその取引を行う際にどれくらいの判断力などが必要かを表しています。

上記の結果はあくまでも、カブドットコム証券で積水ハウスの場合の取引を基にまとめた結果になります。

他の証券会社の場合、もう少し株の取引の手数料が低い場合があります。

しかし、その分一般信用取引の取扱数が少なかったり、利息が高かったりするため、どの証券が一番いいとは言い切れません。

それでは、それぞれの取引についてコメントしたいと思います。

タダ取り(クロス取引)

タダ取りという言葉は大袈裟でそれなりに手数料がかかるため注意が必要です。

貰える株主優待の価値によっては、手数料の方が上回る可能性があります。

ただし、この取引手法はリスクがほとんどなく、手数料もある程度は抑えられ、実践難易度も低いことから初心者にも向くと思います。

一般信用枠が意外とすぐに無くなるので、欲しい優待をゲットするのは意外と難しいですが、株主優待の価値をしっかりと見定めれば、有効な取引手法だと言えると思います。

両建て(制度信用)

この手法は逆日歩が発生した瞬間に、株主優待の価値より手数料の方がかかってしまう可能性がかなり高いため、個人的にはやる価値は無いと思います。

過去に高額な逆日歩が発生した例などもあり、人気の優待銘柄ではかなりの確率で逆日歩が発生しているようです。

リスクもそれなりに高くリターンも低いことから、やる価値のない取引手法だと思います。

この手法をするぐらいなら、なるべく株価の低い時にその銘柄の現物のみに投資して株主優待をゲットする方がまだいいと思います。

現物のみ

当たり前ですが、これが通常の株主優待の取得方法のため、得するか損するかは本人のスキル次第と言えますし、当然有効な取引手段です。

ただし、長期投資でその銘柄の現物を保有している訳ではなく、株主優待取りを目的に権利確定日に買う場合は、それなりにリスクは高いです。

今回のシミュレーションでは、配当の額よりも権利落ち日の寄り付きの下落が小さかったため、利益が出ていますが、配当はその企業の業績により減配されたり無配になるリスクがあります。

また、配当の額よりも、翌日の株価が大幅に下落する可能性もあるためリスクは大きくなります。

結局はいつ買って、いつ売るかという投資スキル次第で株主優待+キャピタルゲイン+配当なども可能になりますし、大損失の可能性もある上級者向けの取引だと思います。

タダ取り(決済時に取引)

この手法は自分で制御できないリスク(権利落ち日の下落による損失、逆日歩)を排除して、後はデイトレード的なスキルでかかった手数料以上のキャピタルゲインを得られるかどうかをチャレンジする手法です。

この手法を選択した時点で、決済にも手数料が発生し、取引に失敗すればその分の損失も上乗せされるためそれなりにリスクはあります。

しかし、権利落ち日の地合いやその銘柄の状況を見て、この手法を実践するかどうかを選べますので、欲張らなければ手数料分くらいのキャピタルゲインを得られる可能性はわりと高く、自分でコントロールできないリスクは排除できるため、結構おすすめの手法です。

ただし、実践難易度はある程度高く、失敗した時に損切りできない人は止めた方が無難な手法です。

まとめ

今回は、世間一般で株主優待のタダ取りやクロス取引と呼ばれる手法が本当に得かを分析してみました。

結論としては、それなりに手数料が発生するが、実践しやすくリスクがほとんど無いため、取得する株主優待によっては、得をする有効な手段だと言えます。

ただし、その優待の品が本当に価値が高いかや欲しいものであるかの見極めは重要だと思います。

また、タダ取りの両建ての決済時のタイミングをずらしデイトレードする手法は、リスクを抑えつつ実力次第でさらに得をするため、チャレンジする価値はあります。

今後も株主優待の価値を見極めて、良い品を低リスクでゲットしていきたいと思います。

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